1.ベトナムの美容市場の概要

ベトナムの化粧品市場

世界的にみると、ベトナムの化粧品市場はまだ小さいものの、急速に成長している。
ベトナムの中流階級の人口は、2020年までに3,300万人に増加すると予想されている。ロンドンに拠点を置くグローバル市場調査会社Mintelのデータによると、ベトナム化粧品市場の価値は約23億米ドルである。

ベトナムの化粧品市場を左右する海外ブランド

Statista社のデータによると、ベトナムの化粧品市場の規模は、ASEAN地域で第6位となる。2019年の売上高は、スキンケア用品で3億4100万米ドル、メイクアップ用品で1億200万米ドルとなり、2023年までの年平均成長率は、それぞれ2.9%、6.1%と予測されている。牽引要因は、急速な経済成長を背景とした中流層(1日あたり15米ドル以上の支出が可能な層)の増加にあり、世界銀行によれば、2026年までに約3120万人に達すると予測されており、化粧品市場は今後も成長が見込まれる。

(図2−1)国別化粧品売上高とベトナム化粧品売上高
出所:B&Company「化粧品市場、海外ブランド中心に成長続く」

また、輸入も伸びており、競争が激しい。ベトナムでは海外ブランドが人気であり、輸入額は2010年の6800万米ドルから2017年には1億1500万米ドルに達した。国別でみると、2015年まではタイが長期にわたり、30%前後を占めて第1位であったが、他国が徐々にシェアを伸ばし、2017年は韓国(22%)、日本(13%)、フランス・タイ・アメリカ(各12%)がトップ5となった。

(図2−2)ベトナムの化粧品の輸入額
出所:B&Company「化粧品市場、海外ブランド中心に成長続く」

2.日本製美容品の販売の状況

日本製美容品の販売の状況

ベトナムでは、日本の美容製品の人気が、近年、急激に高まっている。最近注目されているトレンドの1つが、”自然由来で抽出された成分を主に使い、添加物・化学薬品を抑えた”天然化粧品である。スキンケア用品では、73.2%が「天然化粧品を使用」、7.8%が「未使用」、19.0%が「不明」と回答した(メイクアップ用品では66.6%使用、9.6%未使用、23.8%不明)。「天然化粧品」について、認知度と・使用率がともに高いことが分かる。
日本でもオーガニック化粧品の製造が強みとなり、新興メーカーが各種商品を製造しており、そのような企業の中には、ベトナムへの販路開拓を検討している企業も少なくない。
確かに、ベトナム市場は成長しており、需要が伸びていく種類・トレンドをおさえれば、現地の流通業者が興味を持つ可能性はある。
ただし、ベトナムでも、既に大手のグローバル企業がしのぎを削っており、成功を期待するならば「現地パートナーを見つけて任せるだけ」というわけにはいかないだろう。

(図2−3)国別化粧品の輸入額
出所:B&Company「化粧品市場、海外ブランド中心に成長続く」

ベトナムで日本製美容品販売の将来性

毎日化粧しない顧客のグループが大きな割合を占めているため、ベトナムの化粧品市場にはまだ多くの開発の可能性がある。
結婚式やパーティーなどの特別なイベントで化粧をする人の数は最大で33%であり、週に2回以下の化粧をする人は言うまでもない。
化粧をしない理由は、毎日の化粧習慣がない、時間がない、または敏感で刺激された肌のためかもしれない。
多くの人々が化粧をしないことをためらうもう一つの大きな障壁は、市場で偽造品、偽物、および低品質の製品を購入する恐れがあるためである。
化粧品ブランドが、マーケティングメッセージや戦略を通じてこの顧客グループにメーキャップ製品をより頻繁に使用するように刺激できる場合、市場の未開拓の可能性は多いと考えられる。
最後に、公共交通システムが運用されようとしており、これが消費者の化粧行動の変化、したがって化粧品市場の発展につながる要因になる可能性がある。
これが中国とタイで起こったことである。
多くの人が外で見合わせることになると、自分の外観に注意を払う傾向がある。同様の傾向は、バイクの使用が少ない(つまり、女性がマスク、シャツ、スカートなどを着用する機会が少ないことを意味する)過去のようにベトナムで発生する可能性がある。
公共交通機関がより一般的に使用されている。
これは、美容品市場に大きな革命をもたらすであろう。

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